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外国語を習得したときに母語に無い音を習得するには、何歳までにその外国語の音を身に付けなければならないという俗論があります。私はこの臨界期と呼ばれるものには2段階あると思っています。

一つ目は日本語の文字と音を学ぶ前です。3歳だと遅いといわれる臨界期はこのタイミングです。言語というのは日本語の音のことを指すのだと、その個体が認識してしまうとそれ以上音を増やそうとしません。たとえばLとRや、SとShとThを区別したらそれは日本語ではありませんから、むしろ同じ音だと認識するよう体ができていくことになります。

二つ目は肉体の喉頭(こうとう)機関が成長しきる前です。英語圏に留学して発音が英語っぽくなるために中学生ならギリギリ、高校生ならもう遅いといわれるタイミングです。人間の体は成長期に環境に即して変化するようにできています。したがって喉頭機関が成長期の間に英語の音を数年にわたって発音する環境にいれば、それができるように体は組成されていきます。

なお英語の読み書きについては、英文を読んだときに体が感じる音が日本語のままで良いならば、臨界期はありません。

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